ビッグトップ通信2007年6月号

謹啓 
梅雨の季節になりました。
今年は、梅雨が短く夏が暑くなるとの気象庁の発表もありましたが、
皆様いかがお過ごしでしょうか?
例年雨量によっては河川氾濫や土砂崩れなどが発生しますが、
「恵みの雨」と言う言葉にもあるように、雨は私達にとって大事な
水資源です。今回は「水不足」についての話題をお届けします。
         
【水の危機】
地球上の水資源は、地下・表層・大気に蓄えられていますが、
絶対量には上限があります。海水を飲用水にするための処理に
必要なエネルギーは莫大であり、現在限られた国でしか対応
できていません。限りある水資源を世界中で日々利用している
現在、世界各地では「世界人口のうち11億人が安全な飲み水を
得られない」「地下水の過剰な汲み上げによる農耕地の不毛化」
「水資源の過剰利用と汚染による生物多様性の低下」
「水資源の不足による地域紛争」などといった形で
”水の危機”が顕在化してきています。
また水系感染症と不衛生な生活用水は世界でもっとも主要な死因、
疾病の80%の原因となっているという算定もされています。
【水の危機にさらされている国々】
1トンの穀物を生産するには水1,000トンが必要と言われています。
中国においてはすでに地下水が減少したことによって
穀物生産量が減少しており、インドにおいてもこれから
数年のうちに灌漑用水の不足が技術の進歩で補うことが
できないほど拡大し、中国で見られたような収穫量の減少が
出てくると考えられています。また、穀物の生産への影響だけでなく、
公衆衛生と不衛生な飲用水に関して著しい問題を抱えている国は
数多く存在し、スーダン、イラン、ベネズエラなどは汚染された水を
唯一の水源としています。2025年には安全な飲用水と基本的な
公衆衛生サービスをもたない人々が世界人口の2/3になると
見込まれており、世界規模の問題解決策として下水処理施設の
設置と地下水取水の削減への取り組みをすることもさることながら、
個人レベルで水の使いすぎを控え世界全体で水の消費量を
減らすことも必要となってきています。
【日本と水不足】
島国であり火山活動よって隆起した多数の山の恩恵をうけた日本は
有数の河川と湖沼を持ち、またそれから得られる水の生活用水としての
安全性や用途の広さは、世界の他の地域と比べてみても郡を抜いて高く、
この土壌環境に生活する日本人の意識の中の水に対するありがたみや
水の重要性は低いと言わざるを得ません。
しかしこの「当たり前」が近年通じなくなってきています。
河川や湖沼付近に建てられた数多くの廃棄物処理施設が有害物質を
流したり、山林を切り崩した土地開発の影響による水質低下が深刻な
問題となっています。               
【今年の水不足予想】
各地で今年はダムの貯水量が少ないと言われています。
これは今年の1月から4月の降水量が平年に比べ少なかったことと、
加えて冬の降雪量が平年の6〜7割だったことから雪解け水が少なく
貯水率が回復しなかったことが原因です。
四国地方では例年なら96%程度である早(そ)明浦(めうら)ダムの
貯水率が54%まで落ち込んでいる、また、首都圏の水がめといわれる
利根川上流の8つのダムの貯水率は、8ダム体制となった92年以降で
過去最小の貯水率72%まで落ち込んでいます。
深刻な水不足であった94年夏は8つのダムの貯水率が5月時点で
100%でありながら、6月以降雨が降らなかったため20%をきる
深刻な渇水となりました。
つまり夏の水資源は「梅雨頼み」によるところが多く、
今後の恵みの雨が待たれます

【節水のおすすめ】
恵みの雨を待ち望むだけではなく、少しの心がけで
水の使用量を減らすことができます。
家庭内での節水方法をご紹介しますので是非各ご家庭でお試し下さい。
<洗 濯>
・お風呂の残り湯を利用する。(洗濯機によっては給水ポンプが
付いているものもあり、給水機能のない洗濯機用に単体でも販売
されています。)
「注水すすぎ」ではなく「ためすすぎ」を用いる。
・洗濯の回数を減らしまとめて洗う。
・全自動パルセータ方式の洗濯機よりもドラム式の洗濯機の方が
使う水量が少ない。(「乾燥機つき全自動洗濯機」として販売
されている製品は実質ドラム式でもあるため更に使用水量は少ない)
<台 所>
・食器は汚れを落とし易いよう、ためた水につけておく。 
・流水ではなくため水で洗う。                    
・汚れはあらかじめ拭き取っておく。
<トイレ>
・貯水タンクに瓶・煉瓦などをいれ貯水量を減らす。
・「音を消すための流水」をしない。
<洗 面>
・洗髪、歯磨きなどの時に水を流したままにしない。
・節水コマによって蛇口の流量を制限する。蛇口に気泡を取り込む
ための器具を取付け、少ない水量で流量(流れる体積)を増大させよ
うとする器具もあります。

一人ずつの少しの心がけで世界の水危機を救えるかもしれません。